2001,1,25

 新世紀を迎えた1月も終盤になり、やっと正月気分もぬけて普段の生活に戻ったようです。与えられる情報や社会の流れは、季節の空気を ふと 足をとめて振り返る事さえ出来ないくらい早く、落ち着いて食事をする事さえ 忘れさせられてしまうような毎日です。
 廻りくる四季のうつろいを海、山の幸を通して感じ、長い年月をかけて造り上げられた日本の食文化を基礎として「大木戸 矢部」は本年もかわらぬまま 皆様とおつき合いさせて頂けるようお願い申し上げます。
 時代の最先端で御活躍されている皆様の生活のなかで、ほんの少しでも安らぎを感じていただける様天然の食材を仕入れ、丹念な下拵えで素材の持ち味を生かし無駄のない調理を心掛けて参ります。

 そんな今年のいちおしの料理が“湯葉小鍋立て(仮称)”

 豆乳を湯せんにかけ湯葉をつくり、ほんの少しの出し汁でのばし吉野葛でとろみをつけます。新蕎麦の実を吸い地で炊いて小鍋に盛り、うえからたっぷりの湯葉をのせ鼈甲餡をかけます。熱々の鍋肌にフツフツと琥珀色の気泡が沸き上がり、立ち上る豆乳の湯気に山葵の香りが添えられて・・・
 魚介類のおいしさとも対等に渡り合える濃厚な大豆そのものの旨味、それを引き立てる脇役。合わせるお酒は黒帯か綿屋のぬる燗。

 厳しい寒さに 足元から冷え込む身体を ほんのちょっと温めにコートの襟を立てておでかけください。
 本年も従業員一同 皆様の御来店を心よりお待ち申し上げております。

2001,3,22

 やわらかな陽射しと ここちよい春の風が 厳しい冬の寒さに堅く張りつめた身体をやさしくときほぐしてくれるかの様です。
 御苑大木戸門駐車場の脇にあるユキヤナギの白い回廊からは、コブシのかたい殻から鮮やかな赤やベージュの花の咲きほころぶ様子が爽やかな青空を背景に目に溶け込んできます。

 福岡八女の筍と三崎沖の新若布、早春の出合いの料理 “若竹の小鍋立て”がお勧めです。

 炭火でほのかに温められた銅鍋の出汁にサッとくぐらせると つややかな緑の新若布が現れます。色、香り、舌触り 何にも例えようのない海からの贈り物です。時期的にはそろそろ漁もおわりに近付いております。筍の歯触りとともに身体にも優しい逸品です。

 ちょっと厄介な花粉が飛び交っているようですが、お花見の下見のついでにお立ち寄りください。

2001,5,7

 連休も過ぎて木立の緑もいっそう深まり、足下の小さな草花も色鮮やかに咲き誇っています。

 1月よりすすめて参りましたレタスクラブの蕎麦打ち教本『名人にならう、そば打ち』が発売の運びとなりました。
 二八蕎麦、十割蕎麦、変わり蕎麦、そばつゆ、あと冷たい種もの、温かい種もの・・・
 内容充実で500円。書店で見かけましたら御覧ください。当店でも販売致しております。なお掲載されております種ものにつきましては、当店の定番料理ではございません。誠に申し訳ございませんが、食べてみたいと思われる方は御予約の際にお申し付けください。

 6月発売の『Pen』『デリシャス』の取材もありこちらの方も楽しみにしております。

 春野菜、天然の山菜類、初夏の里の野菜、おこぜ、はも、ます、四万十の鮎・・・八海山2001年限定チタンボトル大吟醸、菊姫は長期熟成『菊理媛(くくりひめ)』、十四代、綿屋、早瀬浦・・・

 詳しくは次回のメールにて御連絡させていただきます。

2001,5,15

 風薫る5月 陽射しも強まり、爽やかな陽の光りをからだいっぱいに受けようと草木の緑もずいぶんと深まってきたようです。

本日ありますものは、

利根川の天然鰻、長崎の走りの鱧、常磐からは天鯛、1,3?の赤むつ
お造りで、炭火焼き、蒸し物、煮物で・・・
長野からは山菜がたっぷりと、たらの芽、こごみ、こしあぶら・・・
胡麻よごし、おひたし、天婦羅、空揚げ
その他、冬瓜、蕪、水なす、等など

 日の入りも延びてビール片手のビアガーデンも盛況のようです。
 5月の爽やかな風に誘われて、一皿の料理の中に閉じ込められた初夏の薫りをのぞきにきませんか!

ps、明日天然のスッポンが入荷予定です。

2001,6,11

 からりと晴れた青空と、どんよりと垂れ込めた梅雨の寒空、しとしと降りそぼる雨、雷鳴と共に街に打ち付ける大粒の雨。
 季節は確実に夏へと近付きつつあります。

 肌にまとわりつく6月の空気を払いのけるように 上着を脱いで シャツの袖をまくりあげ生ビール、枝豆、霜のついたグラスに冷酒、シャッキと茹であがったせいろそば・・・

 ということで、今月始めに発売された 『Pen』,『デリシャス』は蕎麦特集です。ともに月刊誌ですのでまだ書店に並んでいます。なんとその『デリシャス』の表紙は大木戸 矢部のせいろそばです。電車の中吊り広告にも使われていたそうで、知らないうちに皆様の目に触れていたことと思います。機会がありましたら本文も御覧ください。

 5月に発売されたレタスクラブの『名人に習う そば打ち』は当店でも販売いたしております。

 皆様の意識のなかに「矢部のところは本に載ってまた予約がとれなくなったに違いない。」とお思いの方が多いようですが、そんな心配は御無用です。
 先週も今週も予約は少なく落ち着いております。

 冷やかし半分、仕事帰りのちょっと前に受話器を取り上げ今日の待ち合わせ場所を新宿御苑あたりにしてみませんか。

2001,6,15

 いつも御利用いただきありがとうございます。

 当店でも花活け、平皿、長皿、酒器等、皆様に御覧いただいております帯谷宗英氏の個展が開催されております。

 作陶40周年記念『帯谷宗英 美と心の世界展』と題し松屋 銀座店7階画廊において6月13日より19日(火曜日)まで。小さな水滴、抹茶茶碗、花器など全て手びねりによるものでその姿形、色合い、気品のある作品を是非とも皆様に御覧いただきたいと、御案内申し上げます。

 銀座方面へお出かけの折りお時間がございましたらお立ち寄りくださいます様お願い申し上げます。

2001,8,12

 7月の暴力的な暑さに打ちのめされ、どんよりジメジメ鬱陶しい暑さに気持ちまで萎えてしまいそうです。すでに夏休みに入っていらっしゃる方が多い事とおもいますが、大木戸 矢部も8月15日より19日までお休みをいただきます。

 普通お盆は13〜15日だそうですが、この20数年、築地市場の休みにあわせて夏休みを頂いておりまして、今年も15〜17日が市場休業日となります。18日土曜日の為あわせて5日間お休みさせていただきます。18日土曜日夜9時頃の12チャンネル「出没アドマチック天国」今回は新宿御苑近辺の特集だそうです。

 御覧いただければ休み明けの話題にちょっと使えそうかもしれません。

2001,8,19

 残暑と言うには随分と爽やかな、心地よい風が通り抜けて行きます。

 雨の少ない梅雨から7月の猛暑、曇り空の続いた8月、地球温暖化・異常気象・・・新聞、テレビの報道を見る限り、ただならぬ将来への不安をかき立てられます。

 小生、この夏休みに斑尾を基点に、黒姫、戸隠あたりを散策してまいりました。妙高山を眼前にあおぎ、わき上がる積乱雲、山々に囲まれ月影の無い田圃に乱舞する螢の幻想的なイルミネーション、遮る物の無い夜空には天の川を中心に煌めく星と流れ星の天体ショー・・・自然の恵みの中で生かされている小さな生き物、自分はそんな一部分なのだと気付きました。

 そろそろ頭を垂れはじめた稲穂、白い花で辺り一面を埋めつくした蕎麦畑、秋の実りの頃は確実に近付いております。土起こしから草取り刈り取りと手間ひまをかけても、自然の気紛れに収穫を左右されてしまう、消費者としてその辺りも少し気にとめる必要があるのでは、と。
 作り手として大切に作られた作物、山奥深く分け入る山の幸、大海原で捕れる天然の魚、無駄の無いよう持ち味を生かしじっくりと味わっていただく。その為に高い技術と幅広い知識を身につけようと努力してまいります。

 7月より従業員の移動があり、2番手石井君の替わりに妹尾君が仲間入り致しました。慣れるにはまだもう少しお時間を頂く事と思います。

 皆様の応援のおかげで忙しい毎日がつづき夏の御挨拶の葉書も送ることができず、この場を借りて  『残暑お見舞い申し上げます。』

  夏の疲れがたまる頃、御自愛下さいませ。

2001,10,12

 ‘涼しさ’から‘‘肌寒さ’に変わり、深まりゆく秋の気配を街のあちらこちらで感じられるようになりました。椎の実が落ちはじめ、すすきの穂が風にゆらぎ、鼻をつく匂いの元を探せば今年も銀杏の落ちる頃となりました。

 さくらんぼの様な茎のさきに肌色の玉が2つ、強い匂いとかぶれの元となる果肉につつまれ、イチョウの木の根元を埋めつくします。普通果肉ごと土に埋めて自然に殻銀杏にするそうですが、当店では一刻も早く皆様にお食べいただける様、手作業で果肉を剥いてしまいます。さらに堅い殻をヤットコで割り、丹念に殻をとると小指の爪程のむき銀杏が薄皮に包まれて出てきます。低い温度の油でじっくりと火をいれると薄皮がはじけ、艶やかな翡翠色の輝く実に姿をかえます。歯を押し返すような弾力とほのかな甘味、香り・・・。

 皆様の御声援のおかげで、この銀杏拾いも3回目となりました。10月12日からは、また新たな気持ちで4年目をスタートさせたいと思っています。初めての海外出張から戻ったその日、ニューヨークでのテロ事件が起こり、世界がこの日を境に悲しみや怒りに包まれ、重苦しい話題が連日紙面を埋めています。どんな時でも眠る事と食べる事、生きるために必要な事です。同じ食材で同じ道具で料理をしても、人により、時間や温度、味付けなどを操る知識、道具を使いこなす技術の違い、美味しいものを作ろうとする気持ちの有る無しで、出来上がるひと皿の料理が、ある人の安らぎになったり、仕事をする活力になったりできるものと思います。少しでも早く当たり前の平和な生活が戻るよう祈りつつ、日々欠かす事のできない‘食’の分野で少しでも皆様のお役にたてる様努力して参りたいと思います。

 北海道の新蕎麦、喜多方から天然の舞茸、銚子の秋刀魚、季節のたよりは秋の香り満載です。ビールグラスから猪口に持ち替えて、1日の終わり 肩の力を抜いてホッとため息つきながら翡翠色の銀杏をつまみにお立ち寄り下さい。

2001,12,20

 厳しい寒さには少し慣れましたが、蛇口から流れる手を切るような水の冷たさに悲鳴をあげています。今年も残り僅か、歳を重ねる度に一年の過ぎ行く早さに驚かされる様です。

 さて本年も‘大木戸 矢部’は皆様のおかげで無事?年末を迎え、忙しい毎日を過ごしております。

23日(日曜日)は営業いたします。24日(振替休日)はお休み、本年は28日迄、新年は7日(月曜)より営業いたします。

 日頃の御愛顧に感謝いたしますと共に、新年が皆様にとって新たな飛躍、発展の年となります様 お祈り申しあげます。